冬うらら~猫と起爆スイッチ~
●
変な朝食が始まる。
食器が、2人分揃っていないのだ。
だから、すごく妙な取り合わせの食器が並ぶ。
今日――買いに行こうかなぁ。
メイはそう思った。
これから、時々かもしれないが、カイトがここに来てくれる可能性があるのだ。
その時に、毎回こんな食器では大変である。
せめて二人分。
彼女はそんな風に考えていた。
しかし、視線はカイトに注いだままだ。
彼が、みそ汁に口をつけようとしていたのである。
一口。
少しの無言。
「うめぇ…」
あぁ。
メイは、もう何も考えられなくなった。
ずっとずっと、聞きたかったその言葉を、ようやく聞くことが出来たのである。
その言葉こそ、いま自分の目の前にカイトが存在するという、何よりの証拠でもあった。
一人の食卓を知って、それがいかに寂しいものであるかを知った。
ずっと、彼の『うめぇ』という言葉を探し続けていた。
ようやく、そこにたどり着けたのである。
じわっと。
目の前がちょっと霞んだ。
それが続かないように、ぐっとこらえる。
朝ご飯の席で、いきなり泣いてしまったら変だと思われてしまう。
しかし、カイトの視線がふっと向けられた。
メイが、食事に手をつけていなかったからだろう。
慌てて顔を下にさげて、同じようにおみそ汁に手を伸ばす。
こんな幸せな気持ちを、ずっと忘れないようにしようと思った。
昨日かえったばかりの大事なヒナに、ちゃんとその思いを食べさせようと思ったのだ。
そうすれば、きっとヒナは幸せに育つ。
いつかきれいな鳥になるだろう。
きれいな鳥になった時は、カイトともっと幸せな道を歩いていけるのではないかと思った。
いまはまだ、具体的なことは何も考えられなかった。
本当に、始まったばかりなのだから。
変な朝食が始まる。
食器が、2人分揃っていないのだ。
だから、すごく妙な取り合わせの食器が並ぶ。
今日――買いに行こうかなぁ。
メイはそう思った。
これから、時々かもしれないが、カイトがここに来てくれる可能性があるのだ。
その時に、毎回こんな食器では大変である。
せめて二人分。
彼女はそんな風に考えていた。
しかし、視線はカイトに注いだままだ。
彼が、みそ汁に口をつけようとしていたのである。
一口。
少しの無言。
「うめぇ…」
あぁ。
メイは、もう何も考えられなくなった。
ずっとずっと、聞きたかったその言葉を、ようやく聞くことが出来たのである。
その言葉こそ、いま自分の目の前にカイトが存在するという、何よりの証拠でもあった。
一人の食卓を知って、それがいかに寂しいものであるかを知った。
ずっと、彼の『うめぇ』という言葉を探し続けていた。
ようやく、そこにたどり着けたのである。
じわっと。
目の前がちょっと霞んだ。
それが続かないように、ぐっとこらえる。
朝ご飯の席で、いきなり泣いてしまったら変だと思われてしまう。
しかし、カイトの視線がふっと向けられた。
メイが、食事に手をつけていなかったからだろう。
慌てて顔を下にさげて、同じようにおみそ汁に手を伸ばす。
こんな幸せな気持ちを、ずっと忘れないようにしようと思った。
昨日かえったばかりの大事なヒナに、ちゃんとその思いを食べさせようと思ったのだ。
そうすれば、きっとヒナは幸せに育つ。
いつかきれいな鳥になるだろう。
きれいな鳥になった時は、カイトともっと幸せな道を歩いていけるのではないかと思った。
いまはまだ、具体的なことは何も考えられなかった。
本当に、始まったばかりなのだから。