冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 ピポーン! ピポーン! ピポピポピポピポピポ!!!!

 ムキになって、カイトは呼び鈴を押した。

 車があるのはガレージで確認したので、いるのは間違いない。

 しかも、ご丁寧にカイトが、家にいろとまで電話をしたのである。

 これからどういうことが起きるか、ある程度の予想が出来るために、ちっとも心が落ち着かなかった。

 それどころか、さっさと済ませてしまいたくてしょうがない。

 一秒だって長居をしたくない家ナンバーワンだ。

「はいはい、分かった分かった、ちょっと待て」

 扉の向こうから、苦笑したようなソウマの声。

 ガチャガチャとロックを外す音が聞こえるが、その時間さえもどかしい。

「祝日の朝から、一体何だ? あんな電…」

 ドアを開けながら、怪訝な声でソウマはしゃべり始める。

 その鼻面に、記入不備の書類を突きつけた。


「書け!!」


 また、このセリフを吐かなければならない。

「お?」

 紙の向こうで、ソウマはあっけに取られていた。

 まばたきはゆっくりで、いま間近に突きつけられたものの文字を、読んで理解しようとする。

 しばらくの後。

 紙を乗り越えてカイトを見た。

 少しの沈黙。

 カイトの頭の向こうを見る――振り返らなくても、そこにはメイがいるのだ。

 目が。

 ムカつくことにソウマの目が、いきなりニヤッと光った。

 それが、はっきりと分かる。

「まあ、こんなところでも何だから…上がれ」

 声も、笑いを含んでいる。

 シメてやろうかと思った。
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