冬うらら~猫と起爆スイッチ~
☆186
 朝――いきなりケイタイが鳴って。

『オレだ…これから行く、家にいろ!』

 聞き間違いようのないカイトの声は、完全な命令口調だった。

 しかも、言葉が終わったかと思うと、ケイタイは切れたのである。

 ツーツーツーツー。

 ソウマは、うろんな目でケイタイを見つめた。

「どうしたの…?」

 居間にいる夫の行動が、不可解に見えたのだろう。

 ハルコが、台所から首を傾げながら近づいてくる。

「台風が来るぞ…珍しいこともあったもんだ」


 ソウマは苦笑しながら、これから訪れるだろう存在のことを、そう形容した。
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