冬うらら~猫と起爆スイッチ~
☆
ハルコが、横から用紙を覗き込んでくる。
その表情が、ぱっと明るくなった。
それが分かると、ソウマも嬉しくなる。
彼女とは、確かに長い付き合いで、いろんなことを理解しているつもりだった。
どうすれば喜ぶかとか、どうすれば困るかとかもちゃんと分かっている。
けれど、こういうスペシャルな喜び方を見ることは、余りない。
彼女の予想外の幸福が訪れたのだ。
その予想外の幸福というヤツを、ソウマは時々探してしまっている。
ただ、彼女を理解しているということは、彼女にも理解されているということで、なかなかそれが実現出来ないのだ。
その笑顔を生み出したのが、自分ではないところが少し妬けはするが、目撃出来たのは嬉しかった。
ソウマにしてみれば、可愛い弟のようなカイトも幸せになる。
妻も幸せな気分になる――二重の幸せを感じることが出来たのだ。
しかし、弟には弟への対応方法がある。
その上、弟は問題児だった。
「やれやれ、お前が短気なのは知ってはいたが…ここまでとはな」
まずは、軽いジャブを繰り出す。
相手の眉が、ひくっと動いたのが分かる。
どうにも好みの言葉ではなかったようだ。
もちろん、分かって言っているのだが。
「ああ、ごめんなさい…お茶をいれるわね」
さすがに、妻も現状を理解したようだ。
少しでも長く、彼らを引き止めようと思ったのだろう。
お茶の準備に立ち上がった。
勿論、普通の接客の作法としては定番であったが、きっと彼女も話を聞きたくてしょうがないのである。
一体――どんな過程を踏んで、この状態に至ったかを。
ハルコが、横から用紙を覗き込んでくる。
その表情が、ぱっと明るくなった。
それが分かると、ソウマも嬉しくなる。
彼女とは、確かに長い付き合いで、いろんなことを理解しているつもりだった。
どうすれば喜ぶかとか、どうすれば困るかとかもちゃんと分かっている。
けれど、こういうスペシャルな喜び方を見ることは、余りない。
彼女の予想外の幸福が訪れたのだ。
その予想外の幸福というヤツを、ソウマは時々探してしまっている。
ただ、彼女を理解しているということは、彼女にも理解されているということで、なかなかそれが実現出来ないのだ。
その笑顔を生み出したのが、自分ではないところが少し妬けはするが、目撃出来たのは嬉しかった。
ソウマにしてみれば、可愛い弟のようなカイトも幸せになる。
妻も幸せな気分になる――二重の幸せを感じることが出来たのだ。
しかし、弟には弟への対応方法がある。
その上、弟は問題児だった。
「やれやれ、お前が短気なのは知ってはいたが…ここまでとはな」
まずは、軽いジャブを繰り出す。
相手の眉が、ひくっと動いたのが分かる。
どうにも好みの言葉ではなかったようだ。
もちろん、分かって言っているのだが。
「ああ、ごめんなさい…お茶をいれるわね」
さすがに、妻も現状を理解したようだ。
少しでも長く、彼らを引き止めようと思ったのだろう。
お茶の準備に立ち上がった。
勿論、普通の接客の作法としては定番であったが、きっと彼女も話を聞きたくてしょうがないのである。
一体――どんな過程を踏んで、この状態に至ったかを。