冬うらら~猫と起爆スイッチ~
●
証人の欄を、ソウマとハルコが一カ所ずつ埋めてくれた。
記入の終わった用紙を持って、再び役所に向かう道すがら。
車の中は、ぶすったれたカイトの気配が伝わってくる。
あの家での出来事が、どれもこれも気に入らなかった、という様子だ。
でも、メイは行ってよかったと思った。
でなければ、きっと婚姻届けを出しても、不安だっただろう。
いや、いまでも不安がないと言えば嘘である。
出してしまっても、きっと消えないだろうが、それでもハルコと話す前よりはいい。
そうしているうちに。
ついに。
役所についてしまった。
車が止まった瞬間に、ドキッと心臓が飛び跳ねそうになる。
さっきまでは大丈夫だと思っていた気持ちが、いきなり違う方向に跳ね返るのだ。
やはり、全然覚悟が決まっていなかった。
カイトが車を降りようとする。
反射的に、彼の方をぱっと見てしまった。
気配に気づいたのか、カイトが中を振り返ってくれる。
どんな顔で、彼の瞳に映っているのだろうか。
でもきっと、この気持ちを隠しきれていないように思えた。
確かに、カイトのことは好きだ。
離れていたくない。
でも、本当にそれでカイトはいいのか。
彼は、自分と結婚するという道に、こんなに早く入って後悔しないというのか。
本当に?
普通なら、恋人から結婚までの期間は間があいている。
その空間のひずみに起きるマリッジ・ブルーというものを、いまメイはこの短い時間で引き起こしていたのである。
自分はいいのだ。
でも、カイトは?
後で後悔したと言われたら、彼女は絶対に立ち直れないのだ。
胸が、ぎゅうっと痛くなった。
証人の欄を、ソウマとハルコが一カ所ずつ埋めてくれた。
記入の終わった用紙を持って、再び役所に向かう道すがら。
車の中は、ぶすったれたカイトの気配が伝わってくる。
あの家での出来事が、どれもこれも気に入らなかった、という様子だ。
でも、メイは行ってよかったと思った。
でなければ、きっと婚姻届けを出しても、不安だっただろう。
いや、いまでも不安がないと言えば嘘である。
出してしまっても、きっと消えないだろうが、それでもハルコと話す前よりはいい。
そうしているうちに。
ついに。
役所についてしまった。
車が止まった瞬間に、ドキッと心臓が飛び跳ねそうになる。
さっきまでは大丈夫だと思っていた気持ちが、いきなり違う方向に跳ね返るのだ。
やはり、全然覚悟が決まっていなかった。
カイトが車を降りようとする。
反射的に、彼の方をぱっと見てしまった。
気配に気づいたのか、カイトが中を振り返ってくれる。
どんな顔で、彼の瞳に映っているのだろうか。
でもきっと、この気持ちを隠しきれていないように思えた。
確かに、カイトのことは好きだ。
離れていたくない。
でも、本当にそれでカイトはいいのか。
彼は、自分と結婚するという道に、こんなに早く入って後悔しないというのか。
本当に?
普通なら、恋人から結婚までの期間は間があいている。
その空間のひずみに起きるマリッジ・ブルーというものを、いまメイはこの短い時間で引き起こしていたのである。
自分はいいのだ。
でも、カイトは?
後で後悔したと言われたら、彼女は絶対に立ち直れないのだ。
胸が、ぎゅうっと痛くなった。