冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
彼女が中に入って10分くらいか。
いやに早い。
もしかしたら、彼に気遣って早く入ってきたのではないか。
そう思って、慌ててそっちの方を向くと。
「あ…あの…」
どう見ても、そのドアの中に入った時と同じ姿のメイが出てくるではないか。
髪も濡れている様子はないし、風呂上がりという感じは全然しなかった。
疑問符が飛び交うまま、カイトは目を見開いて彼女をじっと見てしまう。
一体、どうしてしまったのか、そう聞きたいのに、口は相変わらず動かなかった。
「あの…何か、パジャマになりそうなもの…貸してもらえます?」
遠慮がちに――メイは、そう言った。
あっ!
そして、またカイトは己の気の回らなさに気づかされるのだ。
そうだった。
彼女を、強引にあの家から連れ出してきたのである。
完全に身一つの状態で。
それで、何も問題はないと思っていたのだ。
足りないものは、いくらでもこれから揃えていけばいいのだから。
なのに。
今日を越えるための必需品が、彼女は何もないのだ。
昼間に思い出しておけば、買い物に出た時に買ってきてもよかったのだが、あの時は、まだ冷静に考えられない状態だった。
いや、今も似たようなものなのだが。
とにかく。
着替えさえない事実を、どうにかしなければ。
ただし、気に入らないことがった。
それならそうと、早く言えばいいのである。
きっと彼女のことだ。
この10分もの間、脱衣所のところで困っていたに違いなかった。
そして、カイトにお願いするかどうか迷っていたのだ。
彼女が中に入って10分くらいか。
いやに早い。
もしかしたら、彼に気遣って早く入ってきたのではないか。
そう思って、慌ててそっちの方を向くと。
「あ…あの…」
どう見ても、そのドアの中に入った時と同じ姿のメイが出てくるではないか。
髪も濡れている様子はないし、風呂上がりという感じは全然しなかった。
疑問符が飛び交うまま、カイトは目を見開いて彼女をじっと見てしまう。
一体、どうしてしまったのか、そう聞きたいのに、口は相変わらず動かなかった。
「あの…何か、パジャマになりそうなもの…貸してもらえます?」
遠慮がちに――メイは、そう言った。
あっ!
そして、またカイトは己の気の回らなさに気づかされるのだ。
そうだった。
彼女を、強引にあの家から連れ出してきたのである。
完全に身一つの状態で。
それで、何も問題はないと思っていたのだ。
足りないものは、いくらでもこれから揃えていけばいいのだから。
なのに。
今日を越えるための必需品が、彼女は何もないのだ。
昼間に思い出しておけば、買い物に出た時に買ってきてもよかったのだが、あの時は、まだ冷静に考えられない状態だった。
いや、今も似たようなものなのだが。
とにかく。
着替えさえない事実を、どうにかしなければ。
ただし、気に入らないことがった。
それならそうと、早く言えばいいのである。
きっと彼女のことだ。
この10分もの間、脱衣所のところで困っていたに違いなかった。
そして、カイトにお願いするかどうか迷っていたのだ。