冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
「でも…あの…その…これからは、私がこの家のこと…しないと…その…」
メイは、戸惑った唇でそう言った。
ガーン!!!!!
そこで、カイトは気づいたのだ。
そうだった。
カイトは、彼女と結婚したのである。
奥さんというものは、家によって多少の違いはあれ、家事などをするものではないのだろうか。
ということは。
メイに、家事という労働をさせることになるのだ。
そこまで、深く考えていなかった。
とにかく一緒に暮らしたい=結婚――その図式は間違っていないが、お互いの肩書きが変わることで、環境や生活の変化が生まれるのである。
いままでは、「すんな」という言葉で防げたものが、これからは防ぎきれないかもしれないのだ。
分かりやすく言えば、この散乱したシャツを、明日にはこびとが片づけてくれる、なんてことはないのである。
ハ、ハルコが…。
彼女がいる、と思いかけたが。
状態を考えると、ほぼ不可能に近いことも分かった。ハルコは妊婦なのだから。
汗がだらだら流れる。
これから彼がちらかせば、それを片づけるのはメイだ。
服を汚せば、洗うのは絶対メイなのである。
カイトは。
脱衣所の中に、足を戻した。
「どれか…取れ」
床に山積みになったままのシャツをちらりと見て、彼女に指示を出す。
このままにしておけば、片づけて出てくるに違いないと思ったのだ。
だから、予防するつもりだった。
「え、あ…はい」
慌てて丈のありそうなシャツを、一枚取る。
残りのシャツを。
カイトは、パワーショベルのように腕を回し、一度に抱え上げると、それの入っていた引き出しの中に全部つっこんだのである。
「え!」
驚いた声をあげるメイを無視して、彼はそのまま押し込むような動きをしてから、引き出しを閉めたのである。
彼女の方を向いて――言った。
「絶対、開けんな」
「でも…あの…その…これからは、私がこの家のこと…しないと…その…」
メイは、戸惑った唇でそう言った。
ガーン!!!!!
そこで、カイトは気づいたのだ。
そうだった。
カイトは、彼女と結婚したのである。
奥さんというものは、家によって多少の違いはあれ、家事などをするものではないのだろうか。
ということは。
メイに、家事という労働をさせることになるのだ。
そこまで、深く考えていなかった。
とにかく一緒に暮らしたい=結婚――その図式は間違っていないが、お互いの肩書きが変わることで、環境や生活の変化が生まれるのである。
いままでは、「すんな」という言葉で防げたものが、これからは防ぎきれないかもしれないのだ。
分かりやすく言えば、この散乱したシャツを、明日にはこびとが片づけてくれる、なんてことはないのである。
ハ、ハルコが…。
彼女がいる、と思いかけたが。
状態を考えると、ほぼ不可能に近いことも分かった。ハルコは妊婦なのだから。
汗がだらだら流れる。
これから彼がちらかせば、それを片づけるのはメイだ。
服を汚せば、洗うのは絶対メイなのである。
カイトは。
脱衣所の中に、足を戻した。
「どれか…取れ」
床に山積みになったままのシャツをちらりと見て、彼女に指示を出す。
このままにしておけば、片づけて出てくるに違いないと思ったのだ。
だから、予防するつもりだった。
「え、あ…はい」
慌てて丈のありそうなシャツを、一枚取る。
残りのシャツを。
カイトは、パワーショベルのように腕を回し、一度に抱え上げると、それの入っていた引き出しの中に全部つっこんだのである。
「え!」
驚いた声をあげるメイを無視して、彼はそのまま押し込むような動きをしてから、引き出しを閉めたのである。
彼女の方を向いて――言った。
「絶対、開けんな」