冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
そうなのだ。
これから寝るということは。
おそらく間違いなく、そういう意味での『寝る』、ということなのである。
今夜そうなるだろうことは分かっていたのだが、ここまでしっかりと認識していなかった。
どちらかというと、見ないように横の方を向いていたのだ。
だが、しかし。
メイは、あんなシャツ一枚でそこに立っていて。
赤い顔のまま、カイトを見ているではないか。
ぴりっと、頬に電流が走った気がした。
全身が緊張したのである。
彼は。
慎重な足取りで、メイの方に向かって歩き出した。
途中、手の方に神経を裂くのを忘れていたので、タオルがぱさっと床に落ちたが、そんなものに構っている暇はなかった。
心臓が、喉から飛び出しそうだった。
まだ、髪からしずくが落ちていく中――彼は、メイの目の前に立ったのである。
言葉は、やっぱり探せなかった。
同じように緊張してしまっているような彼女に、そっと手を伸ばすしか出来ないのである。
手を。
握る。
最初に、彼女にそうしてもらった時。
あの時から、カイトにとって手を握るという行動が、特別な意味を持つようになった。
手の温度は、彼の方が高かった。
風呂から上がってすぐなカイトと、時間がたった彼女との違いだろうか。
その手をゆっくりと引いて歩いた。
「寝るぞ…」
ようやくその言葉が、出せた。
「…はい」
消え入りそうな彼女の声。
そして、どうやって行動を起こしたらいいか分からないうちに、二人ベッドの上に乗ってしまう。
とりあえず、布団の中に入るのがいいのか。
それとも、ここで抱きしめたらいいのか――カイトは緊張のあまり、かなり混乱していた。
そうなのだ。
これから寝るということは。
おそらく間違いなく、そういう意味での『寝る』、ということなのである。
今夜そうなるだろうことは分かっていたのだが、ここまでしっかりと認識していなかった。
どちらかというと、見ないように横の方を向いていたのだ。
だが、しかし。
メイは、あんなシャツ一枚でそこに立っていて。
赤い顔のまま、カイトを見ているではないか。
ぴりっと、頬に電流が走った気がした。
全身が緊張したのである。
彼は。
慎重な足取りで、メイの方に向かって歩き出した。
途中、手の方に神経を裂くのを忘れていたので、タオルがぱさっと床に落ちたが、そんなものに構っている暇はなかった。
心臓が、喉から飛び出しそうだった。
まだ、髪からしずくが落ちていく中――彼は、メイの目の前に立ったのである。
言葉は、やっぱり探せなかった。
同じように緊張してしまっているような彼女に、そっと手を伸ばすしか出来ないのである。
手を。
握る。
最初に、彼女にそうしてもらった時。
あの時から、カイトにとって手を握るという行動が、特別な意味を持つようになった。
手の温度は、彼の方が高かった。
風呂から上がってすぐなカイトと、時間がたった彼女との違いだろうか。
その手をゆっくりと引いて歩いた。
「寝るぞ…」
ようやくその言葉が、出せた。
「…はい」
消え入りそうな彼女の声。
そして、どうやって行動を起こしたらいいか分からないうちに、二人ベッドの上に乗ってしまう。
とりあえず、布団の中に入るのがいいのか。
それとも、ここで抱きしめたらいいのか――カイトは緊張のあまり、かなり混乱していた。