冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 あ。

 メイの心臓は、つぶれそうだった。

 カイトが、『男』というオーラをまとって近づいてくるのが分かったからだ。

 もう、今にも抱きしめられそうなのに、彼はその衝動を抑えるかのような雰囲気で、彼女の手を握ったのである。

 その手が熱かったので、余計にドキッとしてしまう。

 引っ張られた。

「寝るぞ…」

 何かを抑えきれないような声で、そんなことを言われてしまう。

 これから起きることを、予感させずにはいられない音だ。

 握られた手から、彼の微かな呼吸の乱れさえ伝わってしまいそうだった。

 メイは、はい、と答えるしか出来なかった。

 そうなのだ。

 やっぱり結婚してしまったのである。

 何度自覚しても、自覚したりない気持ちが、また彼女の胸の中を走り抜けていった。
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