冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 頭では分かっているのだ。

 しかし、やはりどうしてもいままでの期間が、カイトに目隠しをしたがるのである。

 それに、うまく女を扱えない自分に苛立つのだ。

 メイを幸せにするような言葉一つ、ロクに吐けないのである。

 きっと今も、彼はたくさんの見落としをしているに違いないのだ。

 もっと彼女を、幸せにする方法というものを。

 いま――カイトの持っている選択肢は、やはり多くはなかった。

 行動に移す。
 
 彼女を。

 抱き寄せたのだ。

 どさっと倒れ込むように、メイの身体が自分の胸に納まる。

 そのまま、強く抱きしめた。


「おめーは…ふつつかなんかじゃねぇ」


 だから。


 胸を張って、一生ずっと側にいればいいのだ。
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