冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
「あの…電気…」
きっと。
それは、彼女のお願いの声だったのだろう。
こうこうと明るい室内。
昨日平気だったのは、やはりお互い、感情と衝動だけで突っ走ったせいだろうか。
カイトは、焦る動きで枕元に手を伸ばした。
リモコンをつかむや、「全消灯」のボタンを押す。
ぱっと。
いきなり視界が暗転した。
「きゃっ!」
自分が暗くしろと言ったのに、その変化に悲鳴のような声があがる。
「つけるか…?」
心配になってそう聞く。
「あ…ううん。大丈夫…驚いただけ」
そう言って、カイトの腕を探り当てるように触れてくる。
その温かい感触が、彼の背筋をぞくりとさせた。
まだ目が慣れない。
だから、本当に手探りするしかなかった。
自分がこれまで、いかに目というものに頼っていたのかが、はっきりと分かる。
彼女が見えないというのは、こんなにも不安になるのか。
指を伸ばして、そっと顔を探り当てる。
信じられないくらい、柔らかい頬の感触だ。
輪郭をたどると顎になる。
そのまま、指を少しあげると――唇。
「あの…電気…」
きっと。
それは、彼女のお願いの声だったのだろう。
こうこうと明るい室内。
昨日平気だったのは、やはりお互い、感情と衝動だけで突っ走ったせいだろうか。
カイトは、焦る動きで枕元に手を伸ばした。
リモコンをつかむや、「全消灯」のボタンを押す。
ぱっと。
いきなり視界が暗転した。
「きゃっ!」
自分が暗くしろと言ったのに、その変化に悲鳴のような声があがる。
「つけるか…?」
心配になってそう聞く。
「あ…ううん。大丈夫…驚いただけ」
そう言って、カイトの腕を探り当てるように触れてくる。
その温かい感触が、彼の背筋をぞくりとさせた。
まだ目が慣れない。
だから、本当に手探りするしかなかった。
自分がこれまで、いかに目というものに頼っていたのかが、はっきりと分かる。
彼女が見えないというのは、こんなにも不安になるのか。
指を伸ばして、そっと顔を探り当てる。
信じられないくらい、柔らかい頬の感触だ。
輪郭をたどると顎になる。
そのまま、指を少しあげると――唇。