冬うらら~猫と起爆スイッチ~
01/11 Tue.
□195
「おはようございます…」
声に――反射的に目が開いた。
自分でも、信じられない覚醒具合だ。
はっと頭をもたげると、ベッドに寝ているのは自分だけ。
このだだっぴろい空間に、彼一人がバカみたいに眠っていたのである。
慌てて部屋の電気をつける。手探りでリモコンを見つけだして。
まだ、冬の朝は薄暗いのだ。
ベッドのそばにメイが立っている。
その明るさに、ちょっと戸惑ったような表情を浮かべたのは最初だけで、すぐににこっと笑いかけてくれるのだ。
まるで、何もかもが普通の朝のように思えた。
あぁ?
錯覚してしまいそうだった。
いままでの出来事が、全部夢だったような気がするのだ。
昨日の出来事も、その前日の出来事も。
いや、もっと昔までさかのぼったような気がする。
まだ、彼らは思いを交わしていなくて。
彼女が出ていく前の状態なのでは、と思ったら、すごくイヤな気分になった。
もう、絶対そんなハズはないのだと、自分に言い聞かせる。
なのに、その自分の意識の奥底が、ずっと疑っているのだ。
「今日は、油揚げとタマネギのおみそ汁ですよ」
下にいますね。
本当は。
抱きしめさえすれば、その意識の奥底とやらを追い払えるのである。
そんなことは、最初から分かっていた。
しかし、分かっていないメイは、笑顔でそれだけを言い終わると、部屋を出て行ってしまったのである。
ちょっと彼が呆然としている間に。
非常に腹立たしい事態だった。
おかげで。
彼は、当社比1.5倍の速度で支度を済ませて、階段を駆け下りたのだった。
「おはようございます…」
声に――反射的に目が開いた。
自分でも、信じられない覚醒具合だ。
はっと頭をもたげると、ベッドに寝ているのは自分だけ。
このだだっぴろい空間に、彼一人がバカみたいに眠っていたのである。
慌てて部屋の電気をつける。手探りでリモコンを見つけだして。
まだ、冬の朝は薄暗いのだ。
ベッドのそばにメイが立っている。
その明るさに、ちょっと戸惑ったような表情を浮かべたのは最初だけで、すぐににこっと笑いかけてくれるのだ。
まるで、何もかもが普通の朝のように思えた。
あぁ?
錯覚してしまいそうだった。
いままでの出来事が、全部夢だったような気がするのだ。
昨日の出来事も、その前日の出来事も。
いや、もっと昔までさかのぼったような気がする。
まだ、彼らは思いを交わしていなくて。
彼女が出ていく前の状態なのでは、と思ったら、すごくイヤな気分になった。
もう、絶対そんなハズはないのだと、自分に言い聞かせる。
なのに、その自分の意識の奥底が、ずっと疑っているのだ。
「今日は、油揚げとタマネギのおみそ汁ですよ」
下にいますね。
本当は。
抱きしめさえすれば、その意識の奥底とやらを追い払えるのである。
そんなことは、最初から分かっていた。
しかし、分かっていないメイは、笑顔でそれだけを言い終わると、部屋を出て行ってしまったのである。
ちょっと彼が呆然としている間に。
非常に腹立たしい事態だった。
おかげで。
彼は、当社比1.5倍の速度で支度を済ませて、階段を駆け下りたのだった。