冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 よくよく考えれば、ハルコの考えだけでは、この家で働くことは不可能だ。

 そして、きっとこの男は許可したのだろう。

 また、利益のどうのということを考えて。

「てめー 一人で行け」

 噛みつく声になってしまう。

「分かりました」

 シュウは怯む様子もなかった。

 出ていきかけた身体を止めて、メイを見る。

 彼女は、シュウの登場で、食事を中断したままだった。

「就業時間には、ちょっと早いようですね」

 そして、時計を見たのだ。

 カッと、頭に血が昇った。

 シュウは、まだ彼女を家政婦だと思っているのである。

 だから、そんなセリフが出てきたのだ。

「こいつは、家政婦なんかじゃねぇ!」

 怒鳴っていた。

 シュウは、眼鏡の向こうで怪訝そうな瞳の色をたたえる。

「私の知る限りでは、彼女は家政婦として、この家に雇用されているはずですが?」

 そんな情報遅れのバカ男に、カイトは二度と忘れないように教え込まなければならなかった。


「こいつは…!!!」
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