冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□22
「私が見立てたのよ…可愛くできたかしら?」
ハッ!
ハルコの声が、ひどく満足そうに聞こえた。
次の瞬間、抜け殻のようだった意識に、タマシイが駆け戻ってくる。
見れば、メイの肩に軽く手を乗せて―― 彼女をもっとよく見せようとしているのか、カイトの前から逃がさないのようにしているのか分からなかった。
「あ…あの…」
視線にさらされているのが、ひどく落ち着かないようだ。
メイは、肩越しに救いを求めるような目になった。
「あら…ごめんなさい」
ハルコは、その救いの目を勘違いしたのだろうか。
彼女の肩からすっと手を離して、1人で階段を下り始めた。
どこへ行く気か。
「おい…」
このままでは、カイトの横をすり抜けて、もっと下に行ってしまいそうである。
慌てて、彼は声をかけた。
「それじゃあ、そろそろ私は帰るわね…今日は随分遅くなってしまったから、夫がおなかをすかせてると思うわ」
うふふ。
カイトの目の前までくると、意味深にハルコは微笑んだ。
まるで、邪魔者は帰ります。
そういう笑顔だった。
「「えっ?」」
カイトとメイの声が、同時にあがった。
彼にしてみれば、いきなり放り出されるのだ。
いや、ハルコがいつも帰るのは当たり前のことなのだが、まさかこんなタイミングで、2人きりで残されると思ってもみなかったのである。
確かに、昨日の夜はずっと2人っきりだった。
しかし、目の前にいる彼女は―― 昨日の女とは、また違うのだ。
きちんと衣服を着込んでいるメイと一緒にいることすら、こんなにいたたまれない感じになるなんて計算外である。
そんな気持ちに、まだ整理をつけられていないカイトを置き去りにしていく気なのである。
とんでもないことだった。
「私が見立てたのよ…可愛くできたかしら?」
ハッ!
ハルコの声が、ひどく満足そうに聞こえた。
次の瞬間、抜け殻のようだった意識に、タマシイが駆け戻ってくる。
見れば、メイの肩に軽く手を乗せて―― 彼女をもっとよく見せようとしているのか、カイトの前から逃がさないのようにしているのか分からなかった。
「あ…あの…」
視線にさらされているのが、ひどく落ち着かないようだ。
メイは、肩越しに救いを求めるような目になった。
「あら…ごめんなさい」
ハルコは、その救いの目を勘違いしたのだろうか。
彼女の肩からすっと手を離して、1人で階段を下り始めた。
どこへ行く気か。
「おい…」
このままでは、カイトの横をすり抜けて、もっと下に行ってしまいそうである。
慌てて、彼は声をかけた。
「それじゃあ、そろそろ私は帰るわね…今日は随分遅くなってしまったから、夫がおなかをすかせてると思うわ」
うふふ。
カイトの目の前までくると、意味深にハルコは微笑んだ。
まるで、邪魔者は帰ります。
そういう笑顔だった。
「「えっ?」」
カイトとメイの声が、同時にあがった。
彼にしてみれば、いきなり放り出されるのだ。
いや、ハルコがいつも帰るのは当たり前のことなのだが、まさかこんなタイミングで、2人きりで残されると思ってもみなかったのである。
確かに、昨日の夜はずっと2人っきりだった。
しかし、目の前にいる彼女は―― 昨日の女とは、また違うのだ。
きちんと衣服を着込んでいるメイと一緒にいることすら、こんなにいたたまれない感じになるなんて計算外である。
そんな気持ちに、まだ整理をつけられていないカイトを置き去りにしていく気なのである。
とんでもないことだった。