貴方の想い運びます
まだお店が営業時間ということで、文佳は貸し倉庫に入れていた荷物を取りに行った。店に戻る時道に迷ってはいけないと懍も文佳に同行してくれた。
ガチャリ
「んしょ....よし。荷物はこれで全部です」
「...いくらなんでも少な過ぎないか?」
全部だと言う文佳は大きめのボストンバッグ2つと大きめのリュック1つを手にしていた。
「そうですか?元々あまり物は置かないし、必要最低限の物しか持って来なかったので普通だと思いすよ。普段持ち歩く物はお店に行ったとき持ってた鞄に入ってますし」
「ふーん...じゃあ行こうか。必要な物はまた明日辺りにでも買いに行けばいいか?」
「あっはい。それでいいです。って懍さん!!」
「何だ?」
「何だ?じゃないです!!それ私の荷物!!」
「少ないとは言え、大きめの鞄が3つもあるんだから男の俺が手伝わないでどうするんだ。ましてや文佳。自覚があるかは知らないが君は背が低くてそれ程じゃないが童顔なんだ。もし、荷物をたくさん持った君を隣にして何も持たないなんてことをすれば白い目で見られること間違いなしだ。それに、人の厚意はありがたく受け取っておきなさい。という訳で、反対意見は認めないのでよろしく」
「...分かりました。何かすみません」
チッチッチッ
「すみませんよりもありがとうの方が嬉しいんだが?」
「はい。ありがとうございます」
そういって微笑んだ文佳は、まるで満開の花のようにとても綺麗だった。