貴方の想い運びます

「(思わずついてきてしまったけど、良かったのかな。知らない人についていっちゃいけないのは常識なのに...)」

「......一橋懍だ。」

「へっ!?」

「俺の名前だ。会ったばかりなのに自己紹介すらしないのでは、不安になるのも仕方ないからな」

「そんな...何だかすみません。」

「気にしなくていい。」

「わっ私高柴文佳といいます。」

「文佳...いい名前だな。俺のことは好きに呼んでくれて構わない。」

「はっはい!!」

「さぁ、着いたぞ。」

「えっ?わぁ、素敵なお店ですね!」

そこには全体的に四角く、さっぱりとした焦げ茶色の壁に木を張り付けログハウス風にされた、大きくはないが清潔感のあるお洒落なお店が立っていた。
店の入り口付近においてある黒板には可愛らしいクローバーなどの絵が描かれており、美しい字体でこう書いてあった。

「貴方の想い運びます。運び屋“リンク”?」

「そうだ。さぁ入りな。運び屋“リンク”へようこそ。」


文佳は、新しい何かが近づいてくる足音を聴いた気がした。



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