貴方の想い運びます
「待たせてしまったようですまなかった。」
「いえ!!気になさらないで下さい。」
「そうか...では行こう。着いてきてくれ。」
「はい。」
懍は店の階段を上がっていった。文佳がそのすぐ後ろを着いていくと、懍は階段から真っすぐいったところにある扉を指さした。
「あそこの扉を開ける前に聞きたいんだが、文佳は高いのは平気か?」
「?平気です。」
「良かった。じゃあ行こうか。」
そういって再び歩きだす懍。扉の前にくると文佳に扉を開けるように促した。
ガチャリ
扉を開けると、そこは側面が透明な板になった渡り廊下に繋がっていた。
「綺麗...」
せいぜい5、6mの高さだったが、それでも上から見た景色はとても綺麗だった。
「この板は特殊加工してあって、とても丈夫だから安心していい。」
「へぇ。」
「さぁ、こっちだ。」
渡り廊下は50m程の長さだったので、すぐにまた扉が現れた。
その扉は先程のものと違ってアンティーク調の強い、温かみを感じる扉だった。
「ここだ。着いたぞ。」
カチャリ
明るいノブの回る音がなり、扉が開いた。
「さぁ、入って。」
文佳は内心緊張しながら足を部屋に一歩踏み出した。