貴方の想い運びます
「そうだったのか」
話しを聞き終えた懍は一言そう呟くと、何かを考えているらしく黙ってしまった。
「......あのぅ、懍...さん?」
先程の沈黙とは違い、重くなってしまった空気に堪えられなくなった文佳が懍に声をかけた時だった。
「よし決めた!!」
「っ!?」
いきなり懍が明るい声でそう言ったのだ。もちろん文佳は突然のことに驚きを隠せなかった。なのに当の本人である懍は何故か嬉しそうに笑い声を上げる始末。
普段温厚な文佳もこれには不機嫌になる声を抑えられなかった。まぁ、そうは言ってもかなり控え目なのだが。
「懍さん...いくら何でも笑うなんて酷いじゃないですか。私は、真面目に悩んでるのに...」
「すまない。だが、俺は別に君のことを笑ったんじゃないよ」
「じゃあ、何を笑ってたって言うんですか」
「いやぁ、実は君の悩みを全て、それも一気に解決できる方法を見つけたんだ」
「えっ!?それ本当なんですか!!」
「あぁ」
そこには何だかとても楽しげな笑みを浮かべて笑う懍がいた。