それが僕らにとって何だというのでしょう
ありきたり
どさっ
教室に響く鈍い音
「あーまじ悪ぃ」
笑いながら集団の中の一人は謝る
集団はいわゆるギャル男の集まり
それを見ずにぶちまけられた鞄の中身を拾う青年という言葉がぴったりの一人の男子
北川礼(きたがわらい)
眼鏡に茶色がかった髪
何かを見透かすような目
こいつはいじめられている
いつもの風景
私、早田るな(はいだるな)と隣の谷塚世玲奈(やつかせれな)はそれを見てみぬふりをしながらそのギャル男集団に近づく
「しーおっ」
世玲奈が甘ったるい声を出しながら‘しお’の隣にいく
‘しお’
汐田澪乃(しおたれの)
さっき謝ったやつ
いじめの張本人