それでも朝はやって来る
泣いて…る…?



頬に冷たいものを感じてそれが涙とわかった瞬間。

朝子はすっぽりと悠里の腕の中に収まっていた。


「悪かったな…こんなことに巻き込んじまって」


悠里は涙を優しく啄んだ。

朝子は目を閉じて、優しい悠里の唇の感触を確めていた。


決して唇には触れてこない。

頬に触れるか触れないかのキス。



触ってほしいのに…

もっと、唇に触れてほしいのに…





悠里に触りたい…





朝子は自分から唇を合わせた。




触れるだけのキス。




悠里の動きが止まった。




「……………ダメだ」




悠里は、自分から朝子を勢いよく引き離した。



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