それでも朝はやって来る
このまま触ってやるのもいいが、限界まで焦らして、卑猥な言葉を言わせるのもまた一興。



悠里はどうしようかと思慮しながら、朝子の涙で潤んだ瞳を下から見上げていた。


朝子は、触ってと懇願したのにも関わらず何もしてこない悠里が分からず、じっと見つめるしかできなかった。



悠里の胸に先程自分がつけた引っ掻き傷があるのを見つけた。

何も考えずに、悠里の唇に自分の唇を寄せるとぎこちない舌先で悠里の唾液を舐めた。



朝子の思いがけない行動に、悠里は大きく目を見開いた。

何も言わず導かれるように、傷を舐めた。


引っ掻き傷は、胸の頤の近くに二筋。

傷が治るように、丁寧に舐めるとどうしても、薄茶色の部分も舐めざるを得なかった。

朝子は躊躇せず優しく舌先で傷に触れた。



「…………クッ」



思わず悠里の口から声が漏れてしまった。


上目遣いで必死に舐める姿は、悠里の欲望を煽るものでしかなかった。


「ごめんなさい…」


舐めながら、瞳に涙を貯めて謝った。




ーーー全く、こいつはどれだけ俺を煽れば気が済むんだ?



「……ッくそ!!」







.
< 107 / 199 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop