それでも朝はやって来る
*****
「あいつは、いったいどこに行ってるんだ!?」
携帯を片手に悠里が朝子に電話をかけていた。
なかなか繋がらない携帯に、苛立ちを覚え壁を拳で押さえていた。
普段、朝子になんて電話をしない。
する必要がないし、するほど遠くに居たこともない。
何度かけても、携帯からは留守を伝える機械音だけが聞こえてくる。
「…………悠里様」
真楯の顔なんか今は見たくなかったが、朝子から連絡が来ないという事態で協力せざるを得なかった。
「繋がらなくても位地は大体特定できます」
訳のわからない小型の機械を取り出して、真楯はソファの横のテーブルに並べ始めた。
「電源さえ入っていれば、大丈夫です。棗君の一件から、こんなこともあろうかとちょっと細工させていただきましたから」
画面の上で指をスライドさせながら、地図で位置を特定していく。
大きく息をはいて、悠里に伝えた。
「いまのところ、駅前のカラオケにいる……みたいですね…」
真楯がまだ言い終わらないうちに、悠里は飛び出していった。
「せっかちですね…。駅前のなんてカラオケ店か聞きもしないで…」
開けっぱなしになった扉を見ながら、真楯が呟いた。
画面を軽く叩くと、朝子がいる部屋の映像が写し出された。
「急いては事を仕損じる。
まだまだですね…、悠里様」
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「あいつは、いったいどこに行ってるんだ!?」
携帯を片手に悠里が朝子に電話をかけていた。
なかなか繋がらない携帯に、苛立ちを覚え壁を拳で押さえていた。
普段、朝子になんて電話をしない。
する必要がないし、するほど遠くに居たこともない。
何度かけても、携帯からは留守を伝える機械音だけが聞こえてくる。
「…………悠里様」
真楯の顔なんか今は見たくなかったが、朝子から連絡が来ないという事態で協力せざるを得なかった。
「繋がらなくても位地は大体特定できます」
訳のわからない小型の機械を取り出して、真楯はソファの横のテーブルに並べ始めた。
「電源さえ入っていれば、大丈夫です。棗君の一件から、こんなこともあろうかとちょっと細工させていただきましたから」
画面の上で指をスライドさせながら、地図で位置を特定していく。
大きく息をはいて、悠里に伝えた。
「いまのところ、駅前のカラオケにいる……みたいですね…」
真楯がまだ言い終わらないうちに、悠里は飛び出していった。
「せっかちですね…。駅前のなんてカラオケ店か聞きもしないで…」
開けっぱなしになった扉を見ながら、真楯が呟いた。
画面を軽く叩くと、朝子がいる部屋の映像が写し出された。
「急いては事を仕損じる。
まだまだですね…、悠里様」
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