それでも朝はやって来る
バッカス駅前店につくと、他の店と変わらず明るい店内が目に入ったが、確実に『ソレ』のいた気配がした。



無意識に舌打ちした。



もう、朝子はいないだろうと…



しかし、探すしかない。


朝子がいた痕跡を…


そして、そこから分かる手懸かりを。






「403号室に、カナさんがいらっしゃいます」


気配を殺して、悠里に近づいた真楯が言った。


朝子は無事だろうか…


真楯に無言で頷いた。




403号室へ向かう途中、不自然に扉が少しだけ空いている部屋を見つけた。

他の部屋は人がいてしまっているか、空き部屋である為、ドアが全開になっているかだ。


「悠里様…」


真楯も同じことに気づいたのか、そのドアを眺めていた。


恐る恐るそのドアを開けると…


中には、三人の男たちが倒れていた。

悠里は、血痕がないことに安心した。



まだ、朝子は……無事だ。



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