それでも朝はやって来る
「強がるな。お前だって自分の命は惜しかろう。

後半月だ、よく考えるんだな」


それだけ言うと、神剣はニヤリと笑って開けた窓から外に飛び降りたのだ。


「じゃ、またね~♪」


続いて、桜小路も飛び降りた。


「お…おい!!ここ四階だぞ!!」


二人を追って窓の外を見に行った真楯が、首を横にふった。









真楯が窓を閉め、ソファから落ちた毛布で悠里ごと朝子を包んでくれた。



「朝子……」



朝子は耳元で囁かれた声に安心した。



悠里は朝子を抱き締めたまま離さなかった。



ゆっくり息を吸うと、いつもの悠里の匂いがした。


肩に頭を委ねる。


悠里も朝子の頭に頬を擦り寄せ、ぎこちなく頭を撫でてくれた。



「…………悠…里」



驚くほど、声は掠れてうまく出なかった。

口を開くと一気に感情が溢れてきて、止められなかった。


涙が止まらない…

後から後から流れてくる。


顔中が涙や鼻水でグシャグシャになって、ひどい有り様だ。





「……恐かっ…たぁ……ひっ…く…」





涙で服がびしょびしょになっていても、悠里はそのまま朝子の頭を優しく撫で続けた。



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