それでも朝はやって来る
橘 神剣……


ヤツが出てきたということは、俺も呪いの最終段階に入ったと言うわけか…



先程、橘と対峙した時に赤く変化した悠里の瞳は数分も経たないうちに、黒へと戻ってしまっていた。


真楯もそれに気づいてか、あの二人を深追いしなかった。



さっき、橘が俺を本気で殺そうとしてたら、多分死んでたな。


力が使えねぇなんて、情けね……


どうすっかな。




嗚咽を漏らす朝子をもう一度そっと抱き締める。

それに答えるように、朝子はぎゅっと悠里にしがみついてきた。



傍に控えていた真楯と目が合うと、彼は静かに部屋を出ていった。


ここは、橘の領地だ。

早々長くは居られない。



ポンポンと朝子の頭を優しく叩くと、悠里は朝子を横抱きにして立ち上がった。


「ちょっと、我慢しろよ」


急ぎ足で橘の別館を後にした。






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