それでも朝はやって来る
「おかえりなさいませ、悠里様」


何人かの使用人らしき人たちに迎えられた。


朝子はあまりの出来事にビックリして、頭が着いていかない…


悠里は特に「ああ」と言っただけで、どんどんと奥へ進んでいってしまった。

続いて、真楯も朝子に一礼すると足早に悠里の後に着いていってしまった。


玄関に一人取り残された朝子はどうしていいかわからずおろおろしていると、


「朝子様」


先程の執事のような人が話しかけてきた。


「悠里様の執事をしております、木槿(むくげ)と申します。朝子様はこちらのお部屋になります」


悠里が立ち去った方向と反対の方に案内された。


お屋敷は広くて、とてもじゃないけど案内なしでは先程の場所に帰れるような気がしなかった。


大理石であろうピカピカした長い廊下を少し歩くと、大きな花瓶が置いてある部屋の前に止まった。


「こちらが朝子さまのお部屋になります」


優雅な動作で部屋のドアを開けてくれた。

木槿の手にはめられた艶々に光る白い手袋が綺麗に光っていた。


「御夕食は7時半からになります。その前に支度をさせていただきたいので、7時にこちらに参りますので」


困ったことが合ったら、いつでも御呼びくださいと言われ、木槿は一礼して部屋を去っていった。



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