それでも朝はやって来る
部屋の大きな窓からは噴水が見えて、夕日が沈みきった空は青黒く、空には満月が少し欠けた月が顔を出していた。


満月……

欠けちゃったんだ。


朝子は今日の朝の事を思い出して、身震いした。




お臍の横に神剣に付けられた跡を確認しようと、ベットの脇に備え付けられたクローゼットを開いた。


「えっ…!?」


…………何これ?




クローゼットの中には、色とりどりの服が並んでいた。

ワンピースからドレスまでびっしりと入っていた。


慌てて扉を閉める。



えーっと…あれ?


…………

あっ、

藤咲先生の…か……



婚約者だから、仕方がない。

いくら考えたって、悠里は藤咲のものだ。

あの保健室で見た悠里は、本当に辛そうだった。

藤咲先生も黄金率の体の持ち主だったのに、悠里を裏切ってそうではなくなったと言ってた。



悠里は彼女のことが好きだったに違いない…




朝子は近くに合ったベッドに、ボスッと横になった。


今日はいろいろ有りすぎたから、もう何も考えたくなかった。

目を閉じると、悠里の顔が浮かんできた。



あーあ、


あたしってバカだな………


.
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