それでも朝はやって来る
「後、半月で悠里の呪いは完成し、この八重樫家は終わりを迎える。兄のように堕ちたいか、悠里!!」


怒りの矛先は悠里へと向かった。


「ボンクラと違ってお前には期待しておったのに、易々と術に嵌まりおって!恥を知れ!!」


悠里はぐっと唇を噛みしめ、怒りを堪えていた。

酷く色が変わるほど拳を握りしめていた。


「こんな小娘に手間取っている場合か!眼力でも使って、早く言うことを聞かせるがよい。

他の黄金率の娘も木槿に用意させた。今日中にさっさと試して駄目なら次を考えろ。わかったか!!」



ドンと机の上に、お香らしきものが投げられた。



「満月と同じ効果を出す貴重な香だ。使うがよい」


「清匡(きよまさ)様!」



木槿が父親に寄り添い、立ち上がるのをサポートした。



「悠里、次に会うときはもとの姿に戻っておれ。それ以外ならば、二度とわしの前に現れるな!」



「お食事は?」と聞かれると、ただ首を振っていらないと言い、足早に部屋から出ていってしまった。



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