それでも朝はやって来る
*****


ご飯どころではなく、部屋に戻った朝子はベットの中に踞っていた。


電気も付けず、大きな窓から降り注ぐ月の光りが暗闇を少し照らしているだけだった。



あとで真楯が部屋に運んでくれた軽食にも手を付けず、布団から出る気にもなれなかった。




結局…


何も変わらなかった。




あたしはお金で買われた、ただの道具でしかないんだ。



悠里のお父さんは言ってた。



他の黄金率の人見つかったって…



こんな跳ねっ返りを相手にしなくたって、かっこよくて金持ちの悠里なら幾らだって、相手がいるはず……



初めてだからって…


子供みたいに出し惜しみして、


折角の悠里が元に戻る機会を奪っちゃったんだ…





あたしが悠里の邪魔をしてたんだ。





気だるい体を布団の中で丸めて、声を殺して泣いた。



誰からも必要とされないのがこんなに辛いなんて…



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