それでも朝はやって来る
「キス二回なんかじゃ足りないんだよ」


頭をクシャクシャと掻きながら、悠里が言い捨てる。


「朝子様」


テーブル越しに真楯がふわりと朝子の両手を包み込んだ。
綺麗な黒い瞳に真っ直ぐに見つめられると、何故か穏やかな気持ちになった。


「信じられないかもしれませんが、悠里様は本当は二十二歳なのです。呪いのせいで三ヶ月であの様な風貌に変わられてしまったのです」


握られたてにグッと力がこもる。


「今まで黄金律の体を持っている方は三ヶ月で二人ほどしか探せませんでした。

しかし、残念ながらお二人とも条件があいませんでした。

後一ヶ月もたてば悠里様は、今より更に小さくなってしまうんです。どうか悠里様の力になってください。貴方しかもういないのです」


朝子は大きくため息をついた。
悠里の態度は気に入らないけど、こうやって真楯に頼まれると無下にはできないなぁ…


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