それでも朝はやって来る
堰を切ったように、朝子の両眼から涙が溢れ出す。




「うあーーーっ!!

………先生、あたし…」


「ええ…」




涙が後から後から流れてきて、真楯の服の上に水溜まりを作っていく。


ギュッと真楯の白いワイシャツを握り締めて、叫ぶ。



「あたし…


あたし、悠里が好きだったの!


やっと、気付けたのに…」



涙でグシャグシャになった顔。


フワッとした朝子の髪をいとおしそうに、指先に絡めていく。



「悠里は藤咲先生の婚約者だってわかってる!


だけど、好きなんだもん…

少しでも、悠里の役に立ちたかった…」


目をつぶろうが、開けようが涙は次から次へと溢れ出てくる。


「あんな女が抱かれるくらいなら、あたしが…

あたしを抱いて欲しかった!」


ヒックとしゃっくりのように嗚咽が止まらない。


「あたしじゃダメだった?

気持ちをいったから、重くなりすぎて嫌だった?」


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