それでも朝はやって来る
自分が、とても不細工な顔しているのも分かっている。


理不尽な事を言ってるのも分かってた。




だって一度も悠里は、あたしのこと好きなんて言わなかった…


悠里は始めから、自分の呪いを解きたいだけと言っていた。

これは、契約だ…と。


だけど…


「先生、あたしって…

あたしって…


そんなに魅力ないですか?」



潤んだ瞳で真楯を見上げる。


ゆっくり瞼を閉じて、真楯は目を開く。

黒目がちな真楯の瞳は、朝子の涙で溢れた目を捉えた。


熱のこもった瞳で見つめられた朝子は、一瞬身震いした。


真楯の瞳からは優しさが消え、切なそうに瞳を震わせた。


「僕は…

あなたに魅力がないなんて思ったことは一度もない」


お互いの唇が触れるぐらいまで近づいた顔は、高揚し朝子の唇を誘っていた。



真楯の目が朝子の唇を舐めるように眺め、頬を辿って瞳を捉えた。



「…………好きです」



真楯が発した言葉は、朝子を居抜き、硬直させた。



「………初めて会った時から、ずっと」




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