それでも朝はやって来る
え…


うそ?


真楯先生があたしを…


好き!?




真楯の細い指が朝子の唇に触れる。

唇の感触を確かめるように、ゆっくりと優しくなぞられた。



突然の告白に動揺を隠せないでいた。

顔は上から下まで、きっと真っ赤に違いない。


「すいません。困らせるつもりはなかったのですが…、充分魅力的だと気づいてほしくて…」


顔を手で覆って、真楯は隠している。

うっすら耳朶が真っ赤になっていたのを、見つけると何だか嬉しくなってしまった。



「忘れてください。すいません」



下を向いているせいか、綺麗な髪がさらさらと肩から下に落ちていく。



「元気付けるつもりが、自分の気持ちを押し付けるなんて…」


朝子は、少し大きめのパジャマの袖を引っ張りあげながら、赤く染まった頬を隠す。


「…先生

先生の気持ちは…嬉しいけど、でも…」


真摯に答えようとした朝子を真楯が制す。


「いいんです、僕のことは…

朝子様が笑っていてくれれば、それで…」


いつもの真楯に戻って、何事もなかったように微笑んでくれた。



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