それでも朝はやって来る
手早く身支度を整えた真楯が併設されているバスルームから、出てきた。


髪を後ろでひとつに縛り、所謂執事が来てそうな黒い服を着ていた。


「では、朝のお勤めがありますので」


先程までの素の真楯ではなくて、完全な仕事モードだった。

あまりのギャップに何だか寂しくなった。

にこりと微笑んで一礼して部屋を出ていった。


顔を上げた一瞬だけ、切ない瞳で朝子を見た。


ドアが閉まった音がやけに響いて。



名残惜しかった。


真楯と過ごした時間がなかったことになってしまうのではないか。


まだ、悠里のこと忘れられないが…


自分のことを好いてくれる真楯も、またとても大事に思えた。


このまま、無かったことにできるのか?


思うよりも先に、体が動いた。


ベットから飛び出し、今去ったばかりの真楯を求めて、ドアを開けようとしたその時…!


ドアが勝手に開いた。


そこには…



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