それでも朝はやって来る
*****


「悠里様……あんな言い方をされては……」


一階のリビングの一番大きい窓を開けて悠里は月を眺めていた。


「朝子様はいま悠里様の呪いの進行を止めるのに必要な方ではないのですか?」


机の上に置かれたコーヒを口に運ぶ。


「嫌われてどうするおつもりなんですか?」

「わっかんねーんだよ!」


手に持ったマグカップをグッと握り締めたまま、悠里は下唇を噛み締めた。


「いつもだったら、ちゃんとうまくやれるのに…あいつを目の前にすると、なんかダメで…」


下を向いてうつむく悠里に、真楯がなだめるように肩に手を置いた。


「あなた様が生き延びるためには、まず…朝子様に体液を頂いて、少しでも若返るのを防いで、後1ヶ月の間に橘家の呪いを解かなければならないのですよ…」


悠里を心配そうに覗きこむ。


「次の黄金律の方を探してる余裕はありません。お急ぎになられませんと…」




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