それでも朝はやって来る
いや…別に、二人ともに優しくしてもらおうなんて思ってないし…

櫂兄は生徒会長をやるだけあって、面倒見がいいし、幼馴染みだから余計気に止めてくれてるだけだし…

って言おうと思ったけど、お嬢様育ちの西園寺に何をいっても無駄だと思って止めた。


「…いい気にならないでよ」


目を伏せて、早く終わることを祈った。


「ちょっと聞いてるの?」


西園寺に肩を掴まれた。


「……アホくさ…」


気づいた時には、ため息混じりに口が勝手に動いてた。

力いっぱい突き飛ばされた。


「…イッタァ…、何すんのよ!!」

「ははん、あなたは地面に這いつくばってお金でも探してるのが、お似合いよ」


制服も砂だらけ、不意打ちだったから避ける余裕もなく、膝小僧を擦りむいた。


「ッタマキタ!!」


朝子は西園寺めがけて、つかみかかった。
なんてったって三対一、勝てるわけがない。

いつも綺麗にしてる西園寺の髪の毛を引っ張りあたしと同じように、地べたへ這いつくばらせてやった。

するとお返しと言わんばかりに、綺麗にデコレーションされた魔女みたいな爪で頬っぺたを引っ掛かれた。


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