それでも朝はやって来る
驚いて櫂は朝子を見た。


「朝子、本当なのか?」


本当のことを今すぐにでも櫂に伝えたい…でも、悠里がそれを許さない。


「あ…えっと」


二人の視線が朝子に突き刺さる。





「ただいま帰りました」


居間から見えるキッチンに買い物袋を置きながら、真楯が声をかけた。


「真楯先生!?」


櫂はびっくりしてすっとんきょうな声をあげた。


真楯は櫂の姿を見つけて、驚いたがすぐにいつもの笑顔に戻った。


「君は確か、生徒会長の東雲くんだね」


「なんで先生とこいつが朝子の家に?」


櫂は汗ばむ手をぎゅっと握りしめた。

明らかに何かおかしい…



「…ッチ…」


静まり返った中に、悠里の舌打ちだけが響いた。

うまい言い訳が見つからなかった。


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