それでも朝はやって来る
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放課後、朝子は図書館に来ていた。

家に帰れば、あの二人がいて何だか落ち着かないからだ。


朝、悠里にはあんなことされたし…真楯先生とは顔合わせづらいし…


大きな溜め息をつきながら、教科書をめくった。
さっぱり訳がわからない英語の宿題に取りかかるが、辞書がないことに気づいた。


全く!日本にいれば英語なんて話さないでも生きていけるわよ!!

あー、もう面倒くさいな!!


辞書を探したが、生憎棚の一番上で後ちょっとで届きそうだが届かない。

限界まで中指を伸ばして辞書を引っ張ろうとするが、手が震えるばかりで一向に辞書は取れない。


何度目かで漸く辞書が手前に出てきて、後少しでとれそうだと思った瞬間…



「………朝子様…」


ふいに声をかけられた。


「ひゃっ!」


バランスを崩して倒れそうになった。



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