それでも朝はやって来る
「初めてだったのに…」


広々とした後部座席。

力が入らず、起き上がれない。


「おい、なに泣いてんだよ。別に誘拐したりしねーから、安心しろって」

「キス…、初めてだったんだから…

ううっ…ヒドイよ!!」


朝子からキスを奪ったそいつは、バツが悪そうに頭をかきながら言った。


「……悪かったな」

「…ひっ…ふぇ…」


後悔しても、もうどうにもならないけど、溢れる涙が止まらない。

こいつがなんでこんなことをしたのかは、わからない。


ゆっくりと上半身を起こした。


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