それでも朝はやって来る
「なにあれー、超感じ悪いんですけど」


カナが怒っても怒りきれないと言わんばかりに、お弁当をガツガツ食べ始めた。


「綺麗に着飾ってても所詮はおばちゃんだよ!もー、頭くる!!」


確かに頭には来たけど、朝子はそれ以上の何か自分に対する敵意みたいなものを感じていた。


「でも、あのオバサン、なんで朝子の名前知ってたんだろうね?知り合い?」


そんなカナの問いかけに答えられるはずもなく…


「あーもー!!この残り香さえもイラッとする!」


カナは目の前に残っている香を消すように、鼻を摘まみながら匂いを拡散した。


「ずっと休んでる保健室の先生の代わりがあの人じゃ、大騒ぎになりそうだね」


朝子の力ない返事に、カナは少しイラついたようにため息をついた。



なんだか嫌な予感がした。
あの香り…どこかで嗅いだことがあると…


何故か胸の奥がざわついて仕方なかったのだ。


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