それでも朝はやって来る
機嫌が悪い西園寺に捕まる前に帰ろ…


朝子はそそくさと帰り支度を済ませた。


「カナ、また明日ね」

「バイバーイ」


教室から帰ろうとすると、となりの席の悠里と目があった。


この間の一件からなかなか恥ずかしくて目が合わせられなくて、困っていた。

それは、悠里も一緒なのか…

あれから一度も朝子を見ない。


「あっ……と…悠…」


話かけようとした瞬間、フイッと眼を反らされてしまった。


そんなあからさまに無視しなくたって…



確かに守ってくれると言っていた。

変なやつらに捕まると行けないからと言って、毎日真楯と交代で送り迎えをしてくれているし…

毎晩、お風呂上がりにキスは求められる。


だが、義務的な感じで前のように気持ちが高ぶるような…

あの一番最後に感じたような甘く切ない匂いがしてこないのだ。



嫌われ……ちゃったのか…な?


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