それでも朝はやって来る
*****


よく考えた…


考えた……


考えすぎて…



「あー、もぉ!」


朝子は、乾かしたばかりの髪をぐちゃぐちゃに掻き回した。



やっと好きになれたのに…



彼には婚約者がいて、

超美人だし…

なんか由緒正しき家っぽいし…



あたしなんかより、大人…だし




ベットに寄りかかりながら、今日あった出来事を考えていた。

時計は深夜一時を指していた。


あの一件以来、悠里とはキスしてない。

キスはおろか、顔さえまともに見てない。



悠里が来てから、毎日いつだって彼の好きな時に唇を貪られ、朝子の気持ちなんかお構いなしで…

どんどんと朝子の生活に踏み込んできた……


なのに…今は…



喉が乾いたので、冷蔵庫の中を物色していると。


ガチャっと音がして、風呂場から悠里が出てきた。


「ヒィッ!!」


「お前、『ヒィッ…』ってなんだよ。久々に会って言われた言葉が、それかよ」


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