Sweet love from cake
「菓子作りだけではない。経営学や接客マニュアルなど、全て先生に叩き込まれた。それでもお前は店を閉めると言うか?」

私は首を横に振る。

「きっと、叔父さんもあなたにならお店を続けて欲しいと思います。私も引き続きお手伝いします。よろしくお願いします」

彼に向って深々と頭を下げた。
そんな私を見て、彼はちょっと照れ臭そうに笑った。あ……笑うとちょっと可愛いかも。なんて言ったら失礼だから言わないけど。

お店は閉めなくてもいい。嬉しい結果となったのは良かったんだけど、それからが大変だった。
うちの家族や、叔父さん家族の説得。
叔父さん家族はすんなり認めてくれたんだけど、特にうちのお父さんが猛反対していた。バイトさんたちはみんな辞めてしまったので、実質お店は私と彼の二人。
若い男女が二人きりなど……と言っていたが、叔母さんが彼は菓子作り以外には全く興味がないことを力説し、なんとか丸く収まった。

それに、私にだって好みはある。
いくらカッコよくても、好きでもない人とどうにかなったりなんてしないよ。ましてや、現代であんな喋り方の人じゃあねぇ……。

色々あったけど、お店は続けることになりました。
以前と変わらない毎日がまた戻って来る。
この時はそう、思っていたんだけどなぁ……。
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