Sweet love from cake

「ところで、一つ言いたいことがあるんですが」
「ん？　申してみよ」
「私のことを娘とかお主とか言うの、止めていただけませんか？　私にも名前がありますので」
「……名はなんと申すのだ」
「ゆきの、です。春日ゆきの」

私が名前を告げる。すると茅ケ崎さんは、何故か一人で頷いていた。

「いい名だ……両親の知性と愛情が滲み出ている。これからよろしく頼むぞ、ゆきの殿」
「はぁ……こちらこそ、よろしくお願いします」

以前に両親に名前の由来を聞いたところ、神社で見てもらって画数がいいから付けたと言われたことを思い出した。つまり、知性も何もない。
でも茅ケ崎さんは何故か満足そうだから黙っておこう。

ゆきの殿、なんて呼ばれるのは初めてだし、これからもそう呼ばれることはきっとない。断言出来る。
でも娘とかお主と比べればかなりマシだからいいか。

呼び捨てでもいいよ、なんて言っても聞かなそうだしね。この人は。