Sweet love from cake
そして、再オープン当日。

予想に反してお客さんはたくさん来てくれた。
やっぱり叔父さんのお店は愛されているんだなぁ、としみじみ。

茅ケ崎さんはものすごくカッコいいせいか、女性客に大人気だった。特に十代から二十代くらいの女性に。
確かにパッと見はいいからね。って言うか、接客中は普通の喋り方が出来るのかい!
普段もそうやって話しててくれればいいのに……。

誰も来ないという時間帯がなかったので体はクタクタになったけど、これからもお店が続けられるという嬉しさの方が勝っていたから、私は一日中元気でいられた。

しかし、常連さんが次に来た時にみんなが口を揃えて言う言葉。

「すっごくおいしい。確かに龍二郎さんの味に近い。けどねぇ……何か、ちょっとだけ違うんだよね」

あまりにもみんなが言うので、私はもう一度茅ケ崎さんのお菓子を食べた。
でも……やっぱり私には一緒に感じる。叔父さんの味、そのものに。

茅ケ崎さんと叔父さんの作るお菓子、一体何が違うんだろう――……。私はその疑問に、答えを出せないでいた。

< 20 / 31 >

この作品をシェア

pagetop