Sweet love from cake
「キミを見た瞬間から、鼓動が高鳴っている……。どうか、俺と付き合ってください。もしもキミとの出会いが運命でないというならば、俺はきっと運命なんて信じることは出来ない――……」

――ダメだ。私の頭の処理能力の限界を超えている。この人が一体なんの目的でこんなことを言うのか、私には全くわからない。

「はぁ!? ふざけてるんですか!? 花梨に振られたからって友達に手を出すなんて信じられない! 本っっ当、最低ですよ!」
「ちょっと、夏葵。花梨の言う通り、今のアンタ最低だよ。もう少し考えてものを言いなさいよ」

あぁ、それそれ。私が言いたいのはそれだよ。花梨と楓が代弁してくれて助かった。――いや、この状態は全然助かっていないんだけど。

「振られたからってあてつけに言っている訳じゃないさ。運命の出会いがあることも、恋に落ちるのに時間なんていらないことも、全て彼女が証明してくれた。俺は本気だよ。どうか、キミの返事を聞かせて欲しい……」

そんなこと言われても私は全然運命の出会いだなんて思っていないし、やっぱり恋に落ちるにはそれ相応の時間が必要だと思う。

「ごめんなさい! 無理です!」

働かない頭をフル回転させ、それだけ言い私は先輩の手を振りほどいて一目散に逃げた。
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