Sweet love from cake
一週間後には、叔父さんのお店がなくなってしまう。

叔父さんがいなくても、客足は途絶えることはない。
売れ行きだって、以前とちっとも変らない。

閉店することを告げると、誰もが悲しんでくれた。
その事実に、叔父さんはこんなにもみんなに愛されていたんだと改めて実感した。

でも、どんなに愛されていても閉店するという事実は消えなくて。

閉店前日。
夕方になり、クローズの看板を掛けようと表へ出ると、一人の少年が店の前にいた。
その少年はボロボロの衣服に身を包んでいた。もしかして……ホームレス、とか?
いやいや、そんな訳ない。だって見た感じ、私とそんなに変わらなそうだもん。

「いらっしゃいませ! よかったら店内へどうぞ」

私は少年に笑顔でそう言った。
すると少年は私を見て、不思議そうな顔をする。一体どうしたんだろう。

「ここ、高槻龍二郎先生の店だよな?」

高槻とは、叔父さんの姓。婿養子だから、叔母さんの方の姓なんだ。
そう尋ねる少年に、私はこくりと頷く。って言うか、今、先生って言った……?



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