Sweet love from cake
「こんな小娘が店をやっているとは……あの電話、本当だったのか」

こ、小娘ですって!?
少年の言葉に私はムッとした。

「私は龍二郎さんの姪です。このお店は明日閉店します。どんなご用なのかは知りませんが、もう閉店時間ですので!」
「待て!」
「なんなんですか、一体!」

腕をぐいっと掴まれ、危うく転びそうになる。
もう、一体この人なんなの!?

「先日、先生の奥方から電話をいただいた。事情は把握している」
「……は?せん、せい?」
「我輩は龍二郎先生の弟子、茅ケ崎千秋。娘よ、安心しろ。この店潰させはしない!」

えっと……どこから突っ込めばいいのかわからない。
大体この人、本当に叔父さんの弟子なの?新手の乗っ取りだったりして……。

「もう! 帰ってください!」
「娘よ、厨房はどちらだ?」

私の言葉なんて完全無視ですか。
厨房は、当たり前だけど大切なスイーツを作る場所。衛生にもかなり気を使っている。
そんな場所に見ず知らずの人を、ましてやこんなボロボロな――言葉は悪いけど、汚い人を行かせる訳にはいかない。

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