Sweet love from cake
「あなたが本当に叔父さんの弟子で調理に関わる人ならば、そんな格好で入れる訳がないってわかると思いますが?」

私は精一杯の嫌味を言った。
すると少年は黙る。お……効果的?

「そうだな。急いで山から下りて来たので確かに不衛生である。では娘よ、明日また来る。くれぐれも勝手な真似はするでないぞ」

そう言って、彼は夕暮れの街へと消えて行った。
疲れた……。妙な来客で、一日の疲れがどっと出た気がする。

そう言えばさっき、山から下りて来たとか言ってなかった?まさか、山籠もりしていたとか?
……いや、ないない。ありえない。でもあの話し方だともしかしたらありえるかなぁ。

そんなことを考えながら、私はクローズの看板をかけ、お店を閉めた。

いよいよ明日でこのお店は閉店。
最後だからということで、普段は一人ずつしかバイトの人が来ないけど明日は全員来てくれることになった。と言っても三人だけどね。

明日が終わればこのバイトさんたちともお別れ。やっぱり……寂しいな、色々と。

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