Sweet love from cake
お店の最終日。
今まで経験したどのピークよりも忙しかった。だって、客足がなくなることがないんだもん!
それだけこのお店が好かれていたってことだよね。

ほとんど休憩らしい休憩も取れないまま、一日が終わった。スイーツは完売。
バイトさんたちを帰し、クローズの看板をかけに行く。この看板を掛けたら、このお店も終わっちゃう。私は震える手で看板を掛けようとした。

「待て! 勝手な真似はするなと言ったであろう!」

振り返ると、昨日の少年がいた。いや――昨日とは見違えるほどきれいになっている!
この人、こんなにルックス良かったんだ……。私はつい、見惚れてしまった。

「娘よ、これならば厨房に入っても問題はあるまい」

昨日と比べれば別人とも言えるくらいきれいになっているし、それにもう厨房も使うことがない。入れても大丈夫だよね。

こくりと頷き、私は彼を厨房へと案内した。

「さすが龍二郎先生……厨房内も素晴らしい」

彼は厨房を見渡し、そう呟いた。
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